おばあさんにとっても、この子どもの出現は、昔、絵の中の子どもたちと遊んだ思い出をよみがえらせるものでした。
彼女はうっかりまちがえて、トーリーとよびだしたこの子を、絵の中の同名の子どもの愛称であるトービーと間違えてよんだりします。
トーリーはボギスじいさんに連れられて、今では庭師の仕事場になっている納屋に行くのですが、かつてはそこの一部は馬小屋でもありました。
トーリーと同名の祖父は乗馬の名手であったということで、さらに、今でも夜に馬のいななきが聞こえるという昔の子どものトービーの愛馬の部屋もありました。
トーリーは、そのまぼろしの馬のために、木馬のためにとっておいた残りの角砂糖を一個、大切に置いてやりました。
その夜、トーリーがベッドに入ると、満月が水にうつって、いつもの倍も明るくなり、月光が部屋にさしこんで、木馬やネズミを照らしていました。
どこかで本をめくる音や、ひそひそ声が聞こえるような気がします。
トーリーは、子どもたちが月の光で絵本を見ているのかと想像します。
そして、大きな声で、子どもたちに明るみの中に出ておいでと誘いかけますが、どこか後の方でわらい声がして、バタバタという足音が聞こえただけでした。
トーリーは、姿の見えない子どもたちと一緒に笑い、やがて眠りに入っていきました。