猫には、副甲状腺(甲状腺と同じ機能構造を有した内分泌腺で、犬では前胸部に存在する)が存在しないため、特に甲状腺の腫瘍化が片側に生じている場合の手術や、抗甲状腺剤と手術との併用のタイミングなどに細心の注意を要します。
人間や犬において、もっとも多発する内分泌疾患は、甲状腺機能低下症です。
・・・しかし、猫でのこの病気の報告は、世界的にもほとんど発表されていません。
この点でも、猫はホルモン的に特異な動物です。
最近、日本で、全身性の脱毛を主とした病状に、甲状腺ホルモン療法が良く反応して、新しい毛が生えてきた症例が発見されました。
犬での本症の主な原因は、甲状腺の原因不明の萎縮であり、最近では自己免疫の関連も知られています。
猫での原因に関しては、今のところ不明な点が多いのですが、理論的には、甲状腺の萎縮、出血、腫瘍(ホルモン概能を有さない)、変性、自己免疫などが考えられます。
いずれにしても、猫の甲状腺機能低下症と思われる、具体的症例が発見されたのですから、原因不明の全身性脱毛が生じた場合、猫でも、甲状腺ホルモンの測定が不可欠のものとなってきました。